DTMでの音楽制作に慣れてくると、そのうちDAWに付属する音色だけではクオリティに満足できなくなる頃合いが訪れます。
頑張って作った曲なのに音が薄っぺらい、メジャーアーティストのような音にならないと感じ始めた頃がちょうどその時です。
これを解決するには私財を投げ打って制作環境を拡張しなければならないのですが、往々にしてどこに手をつければ良いのかわからないもの。
そんな時、いの一番に導入することをオススメするのが「総合音源(マルチ音源)」と呼ばれる音源です。
DAW付属音色から総合音源に切り替えるだけでも、格段に作品のクオリティがアップします。
本記事ではDTMで音楽制作するなら1つは持っておいたほうが何かと小回りが効く総合音源を紹介します。
コンテンツ
総合音源は音のデパート
総合音源はあらゆる音色が収録されている音源です。
古くはハードウェアの音源モジュールやワークステーションシンセサイザー、最近ではソフトウェアの形で提供されています。
総合音源を導入するとあらゆる音色を扱えるので、制作の幅が大きく広がります。
その一方、専門音源という総合音源とは対をなす音源もあります。
こちらは特定の楽器に特化することで、よりリアルな演奏を再現できるのが特徴です。
次項では専門音源との比較も交えて総合音源の特徴を挙げていきます。
総合音源のメリット
あらゆる音色を使える
総合音源にはその名の通りあらゆる音色が収録されています。
その範囲はクラシックなオーケストラからデジタルなシンセサイザーまで、多岐に渡ります。
他にもあまり聞きなれない楽器なんかもカバーされているので、もしも必要になったときにでも役に立ちます。
必要な音をワンクリックで即座に呼び出せる、それこそが総合音源の最大の強みではないでしょうか。
様々な音色を同じインターフェースで使える
総合音源には様々な音色が収録されていますが、どんな音色であっても基本的に同じように扱えます。
そのため扱いが簡単で、音色毎に複雑な操作をそれぞれ覚える必要がありません。
総合音源のデメリット
表現力やクオリティは専門音源や楽器に及ばない
総合音源はあらゆる音を扱える一方、一つの楽器だけに注力した専門音源や本物の楽器と比べてしまうと、どうしても表現力やクオリティの面で今一歩及びません。
特に特殊奏法の部分で大きな差があります。
最近の総合音源はよく使われる奏法はカバーしてはいるものの、それでも専門音源や楽器が実現できるバリエーションと比べてしまうと雲泥の差があります。
歌モノのポップスだったら総合音源でも何とか乗り切れるでしょうが、劇伴などの楽器が主役の楽曲だと厳しいところがあるでしょう。
また、ギターなどの特徴的なボイシングや発音のタイミングなどの再現もなかなか難儀します。
ギター専門音源だったらコードをただ並べるだけ、本物ならコードを押さえてかき鳴らすだけで演奏できるものも、総合音源で同じことをやろうとするとギターの原理を理解した上で細かく打ち込みしなければなりません。
音色編集の項目は少なめ
総合音源は扱いが簡単な分、詳細な音色編集ができません。
できてせいぜい各種エンベロープ、フィルターやイコライザー、空間系エフェクトの編集ぐらいでしょうか。
このデメリットは特にシンセサイザー専門音源と比べると顕著にわかります。
パラメータの豊富さはもちろん、LFOなどのシグナルを様々なパラメータにアサインすることで、総合音源では難しい複雑な音色を作ることができるのです。
現行の総合音源
IK Multimedia | Sampletank
IK MultimediaのSampletankは最大250GB以上の音色を収録した総合音源です。
公式では「すべてのミュージシャン必携のワークステーション」と謳っていますが、その謳い文句通りのクオリティを誇り、現行製品の中では特にクオリティに秀でている印象です。
Steinberg | HALion
HALionはSteinbergの総合音源です。
CubaseユーザーであればHALionの機能限定版である「HALion Sonic SE」を使っているでしょうし、馴染み深い音源かと思います。
HALionは収録される容量こそ少ないものの、その音色は特段手を加えずともトラックに馴染んでくれる印象があります。
また、HALionはCubaseと開発元が同じだけあってか、Cubaseのサンプラートラック機能をより便利に使うことができる機能も備わっています。
Cubaseユーザーなら総合音源としてHALionを選ぶと幸せになれると思いますよ。
Native Instruments | Kontakt
Native InstrumentsのKontaktは総合音源というよりは「業界標準のサンプラー」として知られている音源です。
むしろ、Kontakt対応の専門音源を利用するためにKontaktを使うミュージシャンが大多数で、総合音源としてのKontaktはそれほど認知されていないのかもしれません。
さて、総合音源としてのKontaktですが、正直そこまで使い勝手の良いものとは言えないところです。
音色によってクオリティがまちまちだったり、インターフェースに統一感がなかったりで、好き好んで使う場面は少ないかもです。
ですがオーケストラ音源の定番でもあるVIENNA SYMPHONIC LIBRARYの音色が収録されていたりと、中には掘り出し物の音色があったりするので油断なりません。
やはりKontaktの真価は単体でなく、バンドル製品のKompleteに収録される数多のライブラリにあるのでしょう。
Kompleteを買う方がKontakt単品を買うよりも圧倒的にお得ですし。
自身の音楽性に合わせて専門音源も拡張しよう!
今回は3つの代表的な総合音源を紹介しました。いかがでしたか?
総合音源については紹介した3つのうちのどれか1つを持っていれば、おおよその場面で困ることはないでしょう。
ですが、制作するジャンルによっては総合音源だけでは辛くなる場面も出てくるかもしれません。
もしそうなったら、あるいはそうなりそうな時こそ専門音源で拡張していけばいいのです。
劇伴をメインで作るならオーケストラ系やSFXの専門音源を、ロックな曲を作りたいけどギターが弾けないならギターの専門音源をというように、必要な部分にスポットを当てて拡張していくと良いと思います。
音源にも人間と同じで得意不徳な分野がそれぞれあるものです。
各々の特性をしっかり見極めて音源を使いこなし、スムーズな音楽制作を目指しましょう!
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