音楽の世界、というか音の世界においても似て非なる用語や違うようで実は全く同じと言うような用語があります。
「音割れ」と「歪み」もその一例です。
まったく、ややこしいったらありやしません。日本語って難しいですね。
これら両者には違いがあるのでしょうか?
そして、その違いとは何なのでしょうか?
本質的には両者同じ現象
先に結論を述べてしまいますと、音割れも歪みも物理的には同じ現象です。
両者とも入力された音声信号が出力側の限界を超えてしまったことで変質してしまうことをさします。
スピーカーで音楽を再生しようとする際、もっと音量をあけてみようとボリュームを大きくしたときに、一定の範囲を超えるとそれまで何ともなかったのに突然ジャリジャリとノイズが乗ってしまった事は、誰しも少なからず経験はあると思います。
それが音割れや歪みと呼ばれる現象です。
また、音割れや歪みは再生側だけの問題ではなく、音を作っている側にもついて回る問題です。
音楽や映像制作している人であれば、制作ソフトの音声メーターが赤くなったとき、音がおかしくなった経験を少なからずしていると思います。
これもまた音割れや歪みと言われる現象です。
音声ミキサーの意味しているところはデジタル機器での最大音量に対して実際になっている音の比較であり、基準(0dB)となっているのはデジタル機器での最大音量です。
ですので、メーターが赤くなったとき(0dBを超えたとき)とはすなわち限界を超えた時です。
そのため、音割れや歪みといった現象が起こるわけですね。
両者の違いは肯定的か否定的か
音割れと歪み、同じことなのに2つの言葉があるということは、それぞれに違う意味を持たせたいということでもあります。
音割れは否定的ニュアンス
音割れは否定的なニュアンスが強い言葉です。
前述したスピーカーが大きくしすぎてジャリジャリするとか、メーターが0dBを超えたために音がおかしくなるといったような異常状態のことをさします。
音割れは音自体の品質を劣化させることはもちろん、場合によっては聞いた人や鳴らしている音響機器に悪影響を与えかねないので、絶対に避けるべきことです。
歪みは音楽的には肯定的ニュアンス
一方の歪みも一般的には良い印象のある言葉ではありませんが、こと音楽の世界では肯定的なニュアンスで用いられることもあります。
例えばエレキギターの音。
何も接続せずに素のままで流したときには綺麗な音でも、ギターアンプに接続して鳴らした音はギャンギャンとどことなく攻撃的でロックな音です。
これはエレキギターの音がアンプ側で歪みを生じたからです。
ただ、こういった音作りのために行われる音声の変質は音楽的にはOKとされているばかりか、むしろ関連メーカーはいかにいい歪みを作れるかを研究しているほどです。
TPOに合わせて言葉を正しく使おう!
このように、どちらも同じような現象意味しているにもかかわらず、音割れは否定的で忌避されるべきことの変化、歪みは音楽的には肯定的な音の変化として用いられています。
こういった言葉の使い分けがしっかりできると、周りから一目おかれる人になっていけるでしょう。