DTMは楽器ができなくても音楽制作できる、そう思っている人は多いでしょう。
そのような文句を多くの入門書が唱えていますし、実際コンピューターに対する万能なイメージから、その言葉に違和感を覚えることはないと思われます。
ですが、現実は違います。
DTMといえど楽器ができない、もしくは楽器を学ばないのであれば、音楽制作を続けていくのは難しいと言わざるをえません。
楽器が弾けない(楽器が弾けないとは言っていない)
ミュージシャンは楽器を演奏できます。
それがたとえ、DTMによる音楽制作中心のミュージシャンであってもです。
私も誰かに「楽器は弾けるか?」と聞かれたら、「弾けない」と答えるでしょう。
音楽制作をしているタイプのミュージシャンなら、こう答える人は多いのではないでしょうか?
ですが、実は楽器を演奏できちゃうものなんです。
キーボードもギターもある程度。
何せ、制作する時に使っていますから。
それでも楽器を演奏できないと答えてしまうのは、ミュージシャンにとっては「できる」のハードルが高いからです。
どんな楽器にしても、ワンテイクで1発録りできるのは当たり前。
そこにさらにミュージシャンの個性をさりげなく盛り込んだり、レコーディングブースからの指示をすばやく的確にプレイに反映できるところまでいって、始めて「できる」ということです。
スタジオミュージシャンやジャズマンのようなプレイができるのが、ミュージシャンにとっての「できる」の線引きなのです。
私の演奏スキルでは何テイクかを重ねたり、パンチイン/パンチアウトを繰り返したりして、かろうじて作品としてまとめることができる程度。
ですが、これでも一般的には「できる」に分類されるでしょう。
ただ、演奏に関しては自分の中の目標をクリアできていない時点で「できない」と言わざるを得ないのです。
この分水嶺は自分の演奏で人様から金を払ってもらえるかです。
なので、ミュージシャンの「弾けない」は信じてはいけません。
ミュージシャンは大抵何かしらの楽器を演奏できます。
試しに、ご家庭にあるギターを町内のミュージシャンに渡してみれば、なんなく何のためらいもなく高速フレーズを弾きこなすはずです。
なぜDTMミュージシャンも楽器を弾けるのか?
DTMで音楽制作するタイプのミュージシャンは、それとは別に演奏活動をやっているのでなければ楽器を手に取る必要はありません。
それでも、なぜ楽器ができるのか?できるようになっているのか?
それは、その方が音楽制作作業の効率がいいからです。
キーボードにしても何もわからないよりも、どの鍵盤を押せば「ド」の音が出るのかを知っている方が断然有利。
打ち込みが難しいギターなら、多少なりと弾けた方が打ち込みで作るよりも簡単かつリアルに作れます。
打ち込みでやるにしても、ギター特有の奏法や楽器の仕組みなどを知っているだけでも、音やフレーズの作り込みがより深くできます。
DTMやっている人はギターを始める人が多いですね。何せ、打ち込みをやっていればギターは自分で弾いた方が早いと思ってしまうものなので。

楽器ができなくてもDTMで音楽制作してるミュージシャンもいるのでは?
「でも、楽器できなくてもDTMで音楽制作できているミュージシャンもいるし、やっぱり楽器ができる必要ないじゃん」と、そんな声が聞こえてきそうです。
たしかに、楽器が一切できないDTM専門のミュージシャンは探せばいるでしょう。
ですが、そんなミュージシャンはかなり特別な例、例外中の例外です。
言ってしまえば雲の上の存在なので、地に足のついた我々と同じ物差しで考えてはいけません。
金。コネ。才能。
あなたがもし、これらのうちのいずれか2つ以上持ち合わせているならば、楽器が一切できなくてもDTMで音楽制作を続けていけるでしょう。
DTMはとにかくわからないことばかり。
普通のミュージシャンはそんな壁を乗り越える時、楽器演奏の経験を総動員してなんとかするものです。
しかし、先の「金。コネ。才能。」が備わっていれば、難しいことは金で解決し、わからないことはコネを使って相談、そして困難を困難と認識すらしない圧倒的な才能を用いて、DTMのハードルをクリアしていくのです。
ですので、自分がそういった特殊な人間でないという自覚があるのならば、DTMやるなら楽器なんてやらなくてもいいなんて言わずに素直に楽器を手に取る事をオススメします。
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