今でも度々囁かれる、バンドにベースはいらないという「ベース不要論」
この話題が上がる度ににバンド経験者や音楽に詳しい人たちはベースは必要だと反論しますが、彼らの啓蒙活動は身を結ぶことはなく、未だにベース不要論が途絶えることはありません。
果たしてバンドにベースは必要な楽器なのでしょうか?不要なのでしょうか?
なぜバンドにベースが必要なのか?
そもそも、なぜバンドにベース居るのでしょうか?
ベース不要論を唱える人の多くは、バンドにはもうギターがいるのに姿形が似ているベースもいることを疑問に思っているはずです。
「似たような楽器なら1つで事足りるじゃない?」と思うのは普通の感覚からすれば正しいです。
ベース、またの名をベースギターはギターよりも1オクターブ低い音(E1)を鳴らせる楽器です。
そのため、バンドのアンサンブルの中で低音域パートを担当します。
この低音域というのは音楽の再生環境によっては聞こえにくい部分で、ライブ会場での生演奏や高級なオーディオ機器でリスニングするのでなければ、あまりわからない音域です。
現在の一般的な音楽リスニング環境はスマホやPC、そしてテレビのスピーカー。
これらのスピーカーでは相当ベースを意識しなければ聞こえないです。
ですので、聞こえない低音を演奏しているペースのことを、ベース不要論者は要らないと言うのでしょう。
しかし、アンサンブルを奏でる音楽において、低音域が存在しないと音に芯がないだとか、一体化今足りないだとか、そのように物足りなさや不安定感を覚えてしまうものです。
つまり、バンドというアンサンブルを重視する音楽にとって、低音域を担当するベースは必要不可欠。
ベースのような低音を出せないギターだけでは不十分なのです。
ギターが低音域をカバーできればベースはいらないのでは?
だがちょっと待って欲しい。
確かにベースが奏でる低音域は必要ですが、それはベースでなくとも、例えばギターがベースの音域までカバーできるようになればベースはいらなくなるのではないでしょうか?
実は、そういった低音域までカバー出来るギターが存在します。
普通のギターは弦が6本ですが、これに低音側に弦を追加して7弦、8弦と弦を増やし、低音域を演奏可能にした人呼んで多弦ギターと呼ばれるギターがあります。
7弦であればB1、8弦であればF#1までの低音をカバーし、ベースの音域をカバーできるようになります。
ダウンチューニングを施して1音下げればE1、ベースと同じ低音が出ます。
そして実際、多弦ギターを用いることによってベースなしにアンサンブルを奏でられているバンドも珍しくなくなっています。
Toshin Abasi率いるAnimals As Leaders(アニマルズ・アズ・リーダーズ)というバンドが有名でしょうか。
多弦ギターは分厚い低音を追求するメタルや、メタルから派生したDjent(ジェント)などのジャンルでのみ用いられるようなマニアックな楽器だったのは今や昔。
今では楽器店でも何食わぬ顔で普通のギターの隣に陳列されていたりするものです。
多弦ギターがあるのなら多弦ベースもあるのでは?
だがちょっと待って欲しい(2回目)
ギターは多弦化によってベースの音域をカバーできるようになったのならば、ベースもまた多弦化することによってより広い音域を扱えるようになるのではないか?
そしてもちろん、そういったベースもあります。
通常は4弦のベースに低音側と高音側に弦を追加した多弦ベースも世に存在しています。
弦を1本追加した5弦ベースは低音側を拡張して最低音がB0。
さらに弦を追加する場合は高音側に弦を追加し、より高い音を演奏できるようにしていきます。
これは低音側を拡張しても人間が音程を認識できる範囲を超えてしまうがためであり、弦を追加する意味がなくなっているからです。
これによってベースもまたギターの音域を扱えるようになり、言ってしまえばギター不在でもアンサンブルが成立可能になります。
ミュージシャンなら常識に囚われるな!
ギターは弦が6本。ベースは弦が4本。
これはミュージシャンでなくても知られている常識の範疇の知識ですが、音楽に深く携わるミュージシャンであればそういった常識に囚われていてはいけません。
実際に本記事でも弦が6本以上の多弦ギターや、弦が4本以上ある多弦ベースを紹介しましたが、これらのように楽器も進歩したりトレンドが変わったりするので、情報のアップデートが必要です。
これは楽器に限ったことではなく、バンドの編成や音楽そのものに対しても言えることです。
バンドと聞いて各パートの構成を思い浮かべるとき、ミュージシャンを含む多くの人は「ボーカル、ギター、ベース、ドラム、+αにキーボード」と思い浮かべるでしょうが、そういった固定概念に囚われるのはいけません。
大事なのはバンドによってどのような音楽を表現するか。そして、そのために何が必要なのかを見極めることです。
記事の最後にタイトルの問いについての私の見解を述べます。
私はアンサンブルが成立するのであればベースはいなくてもOKと考えています。
導き出したバンドの編成に確固たる意図があるのであれば、それは1つの解です。
そして、その答えにアンサンブルが成立するのであれば言う事はありません。
ただ、ベースが低音が得意な楽器なので、込み入った事情がなければあって困るものではないでしょう。
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