日本のポップカルチャーに言及している記事があったので、件について触れてみたい。
azanaerunawano5to4.hatenablog.com
アイドルは常に最新のシーンにいる
世界的に流行ったEDMもアイドルが取り込み、歌謡曲もラップもギターロックだって取り込む。
そう、アイドルの曲は時代の変化に合わせて、流行に合わせて常に進歩し続けている。
ただし、メロディーはこの限りではない。
むしろ、メロディーは進歩を止めているというより逆行している。
昭和歌謡を彷彿させるメロディーだってあるぐらいだ。
普遍的な女の子の歌を、イカしたトラックが支えて曲を成立させている。
それが、なんだか古くてでも新しさを感じるアイドル曲の正体だ。
なぜアイドルは進化するのか
アイドル曲の歌はアイドル自身が歌っている。それは間違いない。
では、アイドル曲のトラックは誰が作っているのだろうか。
アイドル曲のCDが手元にある方は作詞作曲のクレジットをご覧いただきたい。
作曲にクレジットされているのは常に同じ人物ではないはずだ。
(以前のももいろクローバーZは前山田健一のみがプロデュースしていたので、その辺は除外)
音楽に詳しい方なら、以前活躍していたバンドのメンバー、あるいは今も第一線で活躍している音楽家の名前が挙がっていることを見つけているかもしれない。
アイドル曲は基本的にコンペ形式で採用を行っている。
コンペ形式とは各々の作曲家が曲を提出し、そのたくさんの候補の中から選りすぐりの1曲を選ぶという採用形式だ。
このコンペには駆け出しのアーティストから大御所までありとあらゆる音楽家たちが参加する。
そんなコンペを戦うため、音楽家たちは流行りの音楽を研究し、自分なりの答えを見つけ出す。
新人もベテランも関係ない対等な環境での戦いだ。
むしろ、ベテランであっても最新の音を研究していなければ到底勝てない世界だ。
そうやって作られた曲の中から1つを選ぶわけだ。面白くないわけがない。
アイドル曲が常に進化を止めないのは、彼ら音楽家たちの日々の鍛錬の賜物なのだ。
洋楽に手を出す必要がない
前項のような激しい切磋琢磨を繰り広げられた末に作られた音楽を、我々は聞いている。
テレビから、ラジオから、街頭から流れ出るアイドル曲を聞いた時点で、そのリスナーは音楽シーンの最先端に立つことになる。
そうなると、わざわざ時間とコストをかけてまで洋楽などに手を出す必要性なんてない。
かくして、日本人はアイドルに洗脳されていくのだった。
アイドルを超えるのはたやすいことではない
「アイドルなんて軟弱者の聞くものだ」とギター片手に憤慨するものもいるだろう。
この状況を打破する方法は簡単だ、アイドルに勝てばいい。
ただし、それはアイドルにトラックを提供する音楽家を超えるということと同義だ。
アイドル曲に勝つ音楽を生み出すためには、コンペで戦う音楽家たちを超える鍛錬を積まなければならないだろう。
さらに、音楽のシーンは常に変革し続ける。その波にも乗らなければならない。
アイドルよりも自分たちの方が優れていると嘯くミュージシャンも、使い古されたフレーズと音色を奏でるためにギターをかき鳴らす限り、彼らが勝つことはない。

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