世間では以前より音楽衰退論がささやかれています。
国内ではオリコンチャートの上位はアイドルばかりだったり、大量に買われたCDが特典だけ抜かれてそのまま廃棄されたりというのは、もはや珍しいことではなくなってしまいました。
そのCDを買ったアイドルのファンすらも音楽なんて聞いていないとまで言われる始末です。
皆が愛すべき音楽はもう死んでしまったのでしょうか?
音楽のセールスが落ちている
音楽業界は世界的に陰りを見せているのは自明の理です。
現に音楽のセールスは年々落ちています。
昔では考えられない売上枚数でもオリコンにランクインする時代です。
日本では音楽CDに様々な特典をつけるなどで、音楽以外の要素でコアなファンに訴求しようとしていますが、それでも右肩下がりのセールスを食い止めることはできていません。
音楽離れを阻止すべく各社揃ってサブスクリプションサービスをスタートしていますが、人々を音楽の世界に呼び戻すのは至難でしょう。
人間がいる限り音楽はなくならない
音楽はこのまま衰退して、やがては死に絶えるのでしょうか?
「No Music, No Life.」というフレーズが本来意図するところとは少々ずれていますが、人間が生きている限り音楽がなくなることはありません。
音楽は様々な地域で古くから祭祀や宗教と深く結びついていました。
時には神々に捧げるために奏でられ、時には人々を楽しませるために奏でられました。
つまりは、人間の文明が築かれる上で、音楽はなくてはならない物だったということです。
この事実はこれからも変わることはないでしょう。
死に体なのはレコード会社だけだ
音楽はなくなりません。死ぬのは音楽ではなくレコード会社です。
と言うよりは音楽を録音したメディアを販売することで多大な利益を上げていた時代が異常だったのです。
その異常な時代を基準にしたままの旧態依然とした業界なのですから、時代が変われば先細っていくのは当然です。
また、インターネットの発展により人々はレコード会社を頼らずとも音楽を発信したり、それらを聴くことができるようになりました。
とは言え、レコード会社の音楽業界における発言力は未だ大きく、これからもそれほど小さくはならないでしょう。
しかし、数多あるレコード会社の多くは淘汰される運命にあります。
音楽は滅びません。音楽を録音したメディアで商売していたレコード会社だけが消えゆくのです。
今までのロールモデルを追求する限りミュージシャンは飢えて死ぬ
ミュージシャンにも一応ロールモデルがあります。
レコード会社に所属し、曲を発表し、それをレコード会社がプッシュし、CDやライブで収益を上げる。
そして、収益が上々であったなら、ミュージシャンとして成功したと言えたのではないでしょうか。
ですが、今やレコード会社が死に体になりつつあります。
ミュージシャンが何も考えずに曲を作りつづけるだけでは、いずれ立ちいかなくなるでしょう。
今現在、レコード会社に所属しているミュージシャンならばいいのですが、これから音楽に夢見て音楽で食っていこうとするミュージシャンにとっては、夢叶ってレコード会社に所属できたとしても厳しい現実が待ち受けていることです。
ならば、これからミュージシャンを目指すものは既存のロールモデルを参考にするのは危険ではないかと私は考えています。時代を見据え、時代に適合したミュージシャンでなければ、これから音楽で食っていくなんてできないでしょう。
音楽は死にませんし、誰かがどこかで音楽を必要としています。これからのミュージシャンにはそういったニーズを見極める能力が必要になるのではと思います。

プロ直伝! 職業作曲家への道 曲作りを仕事にするための常識と戦術、そして心得
- 作者: 山口哲一
- 出版社/メーカー: リットーミュージック
- 発売日: 2013/07/12
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログ (1件) を見る