Elektron Octatrack DPS-1についての紹介です。
Octatrackはサンプラーと呼ばれる機材で、他のElektron製品の中でも性質が異なる記載です。
Octatrackは難しいとよく言われますが、そういった印象も持っていたり、現在Octatrackに苦戦している人たちにとって何かしらの一助になれば幸いです。

サンプラーとは
サンプラーとは音声を取り込み、その音声を再生することで音楽を奏でる機材です。
詳しい説明はWikipedia先生にお願いしましょう。
サンプラー(Sampler )は音楽的・非音楽的を問わずサンプリングにより標本化された「音」を任意に再生出力することの出来る装置。
外部から音声をサンプリングしたり記憶装置から読み込んだりすることによりRAMに展開させ、シンセサイザーにおけるPCM音源の1つとして扱われる。大抵の機種は発音時にサンプルの再生ピッチ(音高)を変更できるので、鍵盤その他などの様を呈したMIDI出力装置からの演奏情報を受けて、即時に再生応答が可能である。
サンプル素材について
サンプラーと一重に言っても様々ですが、Octatrackはその中でも自前で用意したサンプル素材を加工し、素材を重ねあわせるタイプのサンプラーです。
つまりは、素材となるサンプルがなければ音を出せません。
Octatrackを買うと基本的なサンプル素材がバンドルされいますが、すぐに物足りなくなることでしょう。
なので、遅かれ早かれサンプル素材の調達をしなければなりません。
現代においては、作った曲をオリジナル曲として発表する予定ならば、市販のレコードからサンプリングするのは止めた方がいいでしょう。
市販のレコードは著作権などの様々な権利に保護されています。
それらを無断で使用した場合、多大な倍賞を請求される可能性があります。
TPPで著作権が非親告罪化した暁には、見せしめや報復で訴えられる可能性も否定できません。
それでもサンプリングしたい場合は法的なクリアランスを図る必要があります。非常に面倒くさいので、音楽を作るどころではなくなることでしょう。
昔はレコードをサンプリングする行為に対してお目こぼしがあったかもしれませんが、今はあらゆる場所に監視の目が光っていますので、止めておいた方が身のためです。
そうなると、サンプルを用意するには有料のサンプル素材を買うか、フリーのサンプル素材をダウンロードするか、自分でサンプル素材を作る必要があります。
有料であれ無料であれ、他人が作ったサンプル素材を使ってみると自分では思いつきもしなかった要素を取り入れられるので、世界が広がるかもしれません。
Octatrackについて
サンプラーについてざっくり触れたところで、ようやく本題のOctatrackについてです。
Octatrackは他のElektron製品のような操作感のサンプラーです。
そして、Octatrackの名前の通り、8トラックの個別のサンプラーが搭載されています。
公式の製品ページには以下の様な文言があります。
即興でできるサンプリング&リミックス
多様な音作りの可能性
リアルタイムストレッチ
次世代Elektronのステップシーケンサー
トラックごとのデュアルアサイナブルFX
パラメーターアサイナブルクロスフェーダー
つまり、ライブパフォーマンス意識した設計になっています。
ライブをしない人でも、製作の際にリアルタイムでOctatrackを操作したものを録音することで、十分に性能を生かせます。
サンプル素材を加工する機能も豊富です。サンプル素材のスライスにしてもスライスした素材を1から順番通りに鳴らすことはもちろん、順番をランダムに設定して元の素材を全く別のものに作り変えることも可能です。また、製作に十分な種類のエフェクトとすべてのパラメータにアサイン可能なLFOも備えています。
また、他のElektron製品と同様にパラメーターロックを備えているので、これによりサンプル素材の一部のみにエフェクトを掛けたりすることが可能です。
Octatrackの自由度はPCのDAWに肩を並べるものがあります。単体で使用するのはもちろん、PCや他の機器と組み合わせたら、音楽の可能性は無限大に広がります。
Octatrackは難しい
ですがOctatrackには重大な欠点があります。
それは、自由度が高くなんでもできる故に、そういった機能を覚えたり使いこなすのが難しいということです。
事実、ヤフオクに新品同様のOctatrackがよく出品されています。
それだけOctatrackに挫折した人が多いのです。
Octatrackを使いこなすことはたしかに難しいです。
私もOctatrackを使う身で、Octatrackを物知ったように記事を書いてますが、実のところまだまだわからんことだらけです。
上記にセールスポーイントをつらつらと書き綴っていますが、それでもOctatrackの機能のほんの一部に過ぎません。
つまり、それだけ多機能であるので、Octatrackのすべてを把握するのに時間がかかるのです。
よくわからないからググってみようとしても、Octatrackの絶対的なユーザーが少ないせいなのか、このご時世においても必要とする情報が手に入りにくいです。
だからこそ、Octatrackの理想と現実のギャップに失望し、挫折してしまうのです。
Octatrackに挫折しないためにも
Octatrackに挫折し、買った1か月後に中古市場に流すべく梱包するような事態を避けるにはどうすればいいのでしょうか。
まずは、買う前に1度Octatrackを体験してみることです。
試奏できる店舗に赴いて、店員さんにレクチャーしてもらうのがいいでしょう。
店舗に行くまでにかかる時間や交通費は必要経費だと考えて割り切ったほうがいいです。
できることから、分かることから触り始めてみることも大事です。
いきなり全部を把握しようとすると頭がパンクしてOctatrackを拒絶したくなることでしょう。
最初はサンプル素材をスライスしたり、トリガーをかけたり、エフェクトをかけたりなどの基本動作だけを使ってください。
それだけでも高度なパフォーマンスが可能なことに気づくはずです。
Octatrackの全機能を把握するのは、基本機能に慣れて物足りなくなってきてからでも遅くはありません。
誰かに相談するのも一手です。
困り事は公式のフォーラムに相談するのが手早いですが、残念ながら日本語フォーラムはありません。
その代わり、2chのElektronスレが事実上の日本のフォーラムになっています。
Elektronスレの民度は2chとは思えないほど穏やかです。住民はググっても情報が出てこないことを知っているので、あなたをググレカスと突き放すことはないでしょう。困り事を的確に伝えさえすれば親切に回答してくれるでしょうし、知り合いのスーパーハカーによって個人情報をぶちまけられるなんてことはないだろうと思います。多分。
コメントとかブックマーク経由で私に質問を投げてもらっても構いませんけど、フォーラムや2chの人たちほど詳しくないですよ。
また、Octatrackのマニュアルが致命的に読みにくいです。索引なんてほとんど機能してません。
そんなマニュアルを補完するのがSine Waveに乗せてってさんのOctatrack日誌です。
ここではOctatrackの機能紹介や、アップデート情報、さらには他のElektron製品情報も充実しています。
そして、その記事を再編集した「Octatrack Diary」は公式のマニュアルよりもかゆいところに手が届いてわかりやすいと思います。
そんなすごいマニュアルが800円から購入できるので、Octatrack使いは是非買うことをオススメします。
Octatrack日誌 その105 – Sine Waveに乗せてって