2014年4月より放送された「ご注文はうさぎですか?(以下、1期)」は、放送開始するやいなや瞬く間に視聴者たちの虜にしていきました。
その影響は2015年10月に「ご注文はうさぎですか??(以下、2期)」が放送開始されるまで「ごちうさ難民」と称される、新作を待ち望むファンを生み出したほどです。
特に、ごちうさ1期OPの「Daydream café」は「あ^〜心がぴょんぴょんするするんじゃ^〜」というクッソ汚いスラングを流行させるほどの影響力がありました。
2期OPの「ノーポイッ!」では心ぴょんぴょんというワードこそ使われていないものの、1期OPを踏襲する曲調によって同じく心ぴょんぴょんできる仕上がりとなっています。
では、なぜごちうさのOPは聞く人の心をぴょんぴょんさせるのでしょうか?
本記事では、ごちうさのOPに仕掛けられた心ぴょんぴょんする仕組みを紐解いていきます。
圧倒的にかわいい
ごちうさのOPは1期2期ともにかわいい。圧倒的にかわいい。
ごちうさのOPのかわいいかを的確に表現しきれない私の語彙に乏しさ忸怩たる思いを抱くほど、ごちうさのOPはかわいいのです。
歌詞に注目すると、全体的にポジティブなワードを選んでいることがわかります。
かわいいを表現する当然といったところでしょうか。
「ぴょんぴょん」や「ポイッ!」というオノマトペは普遍的ながらもかわいいを表現するに効果的です。
また、「駄目」や「嫌だ」というような否定的なワードも登場しますが、それらにすら愛らしさを感じられるのはシンガーによるアーティキュレーションの賜物でしょう。
あらゆるかわいいの要素を詰め込んで絨毯爆撃する、ごちうさのOPがかわいくないわけがないのです。
曲中の掛け合い
ごちうさのOPは1期2期ともにPetit Rabbit’s(メインキャラクター5人の声優陣によるユニット)がシンガーを担当しており、両曲ともメインメロディをメンバーが代わる代わる入れ替わり立ち代り歌います。
また、そんなメインメロディに対して、歌唱していないメンバーからの合いの手が入ります。
こういった演出は曲の一部だけではなく、曲全体に渡っています。
このような曲構成のために、ごちうさのOPにはまるで5人がその場にいて歌っているような臨場感さえも感じられます。
それこそ、まるで互いを呼吸すらも把握しているかのようにプレイヤーたちがシンクロする、ジャズのインプロビゼーションを彷彿させます。
ごちうさのOPはフィクションにリアルなライブ感を持たせることを試みているのです。
ストリングスのフレーズ
ごちうさのOPの特徴として、ストリングスのフレーズが激しいことが挙げられます。
ストリングスが殆どの音楽で情景や感情を表現する音色として用いられます。
ポップスでもラブソングなどで情緒豊かなストリングス音色をしばしば耳にします。
さて、そんなストリングスが激しく上下に動くような事になったらどうなるでしょうか。
ハンガリー音楽のチャルダッシュを例にしてみますと、優雅な雰囲気が一変して激しく踊りだしたくなる雰囲気になるでしょう。
アイリッシュ音楽においても、フィドルのフレーズが激しくなると体が勝手に動き出しそうです。
激しいストリングスのフレージングは、人をカフェインハイテンション状態になったシャロちゃんのような気分にしてくれます。

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曲の調性
1期OPのDaydream caféは変ホ長調、2期OPのノーポイッ!はホ長調です。
変ホ長調は青空の調とも呼ばれ、華麗かつ壮大さを併せ持つ英雄的な調と評されています。
英雄的・・・といってもピンと来ないかもしれませんが、ココアちゃんがチノちゃんのお姉ちゃんになろうとしている表れとも解釈できます(こじつけ)
「英雄的」はリゼちゃんのことだと直球解釈してもOKですね(適当)
ホ長調は高貴の調とも呼ばれ、輝かしさと温和な喜びを感じられる調と評されています。
まさに千夜ちゃんを示唆しているかのようです。
まあ、ポピュラー音楽ではこういった解釈で調を決めるということは少ないのですが、どちらにせよ長調のために明るい響きの曲になることは確かです。
コード
ごちうさOPに共通して言える特徴としてトニック、特にⅠ度のコード(変ホ長調ならE♭△7、ホ長調ならE△7)があまり出てこないことが挙げられます。
これにより曲に浮遊感をもたせるられるため、どこか現実離れした雰囲気になります。
また、テンションコードを多用していることも特徴です。
テンションコードの採用によって複雑なボイシングになるとともに、コードが持つ役割の概念が希薄になります。
ごちうさのOPの場合はIV度のコードなのにV度のsus4コードと解釈できるようにしたテンションコードが目立ちます。
sus4コードも浮遊感を演出するコードとしてよく用いられるコードです。
ごちうさのOPはごちうさの世界に視聴者を没頭してもらうために、現実から引き離す効果を持たせようとしたのでしょう。
現実からの乖離、幸福感の高まり
ごちうさのOPを聞くと心がぴょんぴょんする理由、それは辛い現実から開放されたことによる安堵感、そしてより臨場感を帯びたフィクションの世界に旅立てる期待が、視聴者たちの胸を高鳴らせていた結果だと考えられます。
そういえば、本編の町並みにおいてもコンクリートジャングルや満員電車などの現実的な風景は見受けられませんでした。
真に心ぴょんぴょんするには現世を離れるしかないのでしょう。
つまり、ごちうさの原作者や制作陣は我々視聴者に以下のことを伝えたかったのです。
ごちうさを見るときは気分を明るくして現実から離れて見てください。
もっとごちうさの音楽を知りたい方はこちら
大先生こおろぎさんがごちうさの劇伴について解説しています。
ここよりもさらに音楽的で勉強になりますので、ごちうさの音楽に興味のある方はどうぞ。