photo by Konabish ~ Greg Bishop
人はなにかと不自然な物事に気づく生き物です。
音楽においても多くの人が気づく不自然な効果があります。
その一つがマシンガン効果です。
マシンガン効果について考えて見るきっかけとなったのは、こおろぎさんのブログにてマシンガン効果について触れられていたことです。
マシンガン効果は聞く人に違和感を与えてしまうものということで、ミュージシャンが音楽制作において対策しておかないといけない部分です。
さて、マシンガン効果という名前がついていますが、マシンガン効果の語源となっているマシンガンは意外にもマシンガン効果の影響を受けません。
遊戯王のルール裁定みたいにややこしいことになっていますが、実際こうなので仕方ありません。
そこで、実際のマシンガンはマシンガン効果を受けない理由やマシンガン効果について、私なりに考えてみました。
マシンガン効果とは
マシンガン効果について、こおろぎさんの記事の言葉を借りると以下のとおりです。
同じサンプル、波形の音が連続で発音されると不自然に感じる現象。
主にシンセドラムや、サンプリングされたサンプルを発音するソフトウェア音源などで発生する。
同じサンプルでのスネアの連続が「ダダダダダ」とマシンガンのように聴こえることからこの名前になったと思われる。
この動画でマシンガン効果が生じている様子と、それを抑制した後の音を聴き比べることができます。
マシンガン効果を抑制したものと比べると、マシンガン効果が現れている音はすごく違和感を感じますね。
実際のマシンガンの音
では、実際のマシンガンの音はどうでしょうか。
マシンガンと一言で言っても、仕組みや大きさ、用途などで様々に分類されるようです。
ですが、本記事の本質はマシンガンを語ることじゃありませんから、小さくても大きくても同じマシンガンとして乱暴に分類します。
これらを聞く限り、マシンガンの音なのにマシンガン効果を感じないのではないでしょうか。
マシンガンがマシンガン効果を生じない理由
マシンガンがマシンガン効果の影響を受けないのは、マシンガンが発する音が1発1発違うからです。
マシンガンの発射音を構成する音素は、大別すると次のようなものがあります。
- 発砲音(火薬の炸裂音)
- 銃弾の風切音
- 銃の動作音(給弾、排莢など)
- 残響や反響
マシンガンのから発生する音はそれぞれ別の原因で生ずる音で、これらがミックスされた音がマシンガンの音です。
そのため、マシンガンの発射音の1発1発はどれも似て非なる音になるので、マシンガン効果の影響を受けないのです。
楽器にも同じことが言える
楽器にしても同じように音を構成する音素は様々あります。
例えばスネアドラムの音素には次のようなものがあります。
- 打面とスティックとが接触した音
- 共鳴胴で増幅された音
- 響線による音
- 残響や反響
先ほど例示したマシンガンのように、様々な要素がミックスされて一つの音が形成されます。
そのため、同じように叩いても厳密には違う音が出るために、マシンガン効果を生じず自然に聞こえるのです。
だからこそ、結果発表の時とかに流れる「ダララララララ」というスネアロールを聞いても、ひどい違和感を感じることはありません。
人間の感覚は敏感
我々人間が自然界で聞く音は、全て様々な音が組み合わさったのもです。
そのため、同じように聞こえる連続音でも全てが全て同じ音であることはありません。
そんな中で、自然界の掟を一切合切無視して並べられたサンプルを聞いた時、我々はマシンガン効果を知覚し違和感を覚えます。
さて、私はこのマシンガン効果は人間のエラーの産物ではなく、違和感を感じ取れる優れた感覚があることの証明だと考えています。
家の中に知らない人が何の前触れもなくいたらびっくりするでしょう。
そんな風に自然界で聞き慣れない音が飛び込んできたら違和感を感じる、それは人間も鋭い聴覚を備えているからこそなしえるのではないでしょうか。
世の中には人間よりも優れた感覚を持っている動物がいるために、それらと比べて人間は感覚が鈍いと思われがちですが、我々人間もなかなか優れた感覚を持っています。
人間、捨てたもんじゃないですよ。