iOSの定番音楽制作アプリのKORG Gadgetがバージョンアップ、それにともなって新たな音源が追加されました。
そして、その追加された音源の中でも目玉となっているのが、バンダイナムコスタジオのコラボである「Kamata」です。
80年代のゲームサウンドを思い起こさせるサウンドが特徴のシンセサイザーであるKamataを早速レビューしてみます。
コンテンツ
Kamataのみで曲を作ってみた
リード、コード、ベース、ドラム全てをKamataのみを使って1曲作ってみました。
音を重ねまくったりKORG Gadgetのエフェクターを使用しているので、いわゆるチップチューンの流儀に沿ってはいません。悪しからず。
Kamataについて
KamataはKORG Gadgetとバンダイナムコスタジオのコラボによって、ナムコのカスタマイズ波形メモリ音源「C30」をKORG Gadgetで再現したシンセサイザー音源です。
C30というと、ナムコの名作ゲーム「ドルアーガの塔」のBGMを奏でる音源チップとしても有名です。
[BGM] [AC] ドルアーガの塔 [The Tower of DRUAGA]
KORG Gadgetに搭載するにあたって編集可能なパラメータを厳選しているようですが、そのパラメータだけで十二分に音作りが可能です。
KamataはKORG Gadgetの拡張音源のため、動作には当然KORG Gadgetが必要になります。
KORG GadgetはiOSアプリとしては高価な部類に入るアプリですが、iPhoneやiPadで音楽制作したい人はもちろん、Kamataや往年の波形メモリ音源に興味がある人なら買って損はないアプリです。
通常価格は4800円ですが、KORGはなにかにつけてアプリのセールすることが多く、今回のバージョンアップに際しても2016年7月15日までバージョンアップ記念のセールをしているので、半額の2400円で買うことができます。
波形メモリ音源とは
上で「波形メモリ音源」という、普通にはあまり見慣れない言葉が出てきましたので、これについても簡単に説明します。
波形メモリ音源とはゲーム機に搭載されていた音源の一種で、ごく短いサンプリング波形をオシレーターとしたシンセサイザーです。
サンプリング波形には矩形波やノコギリ波などの単純な物以外にも使うことができるので、多彩な音楽表現を可能としました。
また、本物の楽器からサンプリングすれば、より本物っぽい音を作ることも可能です。
この波形メモリ音源に関してもチップチューンのシーンではよく使われているみたいです。
詳しく知りたい方はWikipediaを参照してみてください。
ミュージシャン的にはコンパクトなウェーブテーブルシンセサイザーといったほうがピンとくるでしょうか。
Kingstonとの違い
KORG Gadgetには元々「Kingston」というチップチューン用のシンセサイザー音源が搭載されています。
なので私も最初、KamataはKORG Gadgetとバンダイナムコスタジオのコラボというだけの、特に目新しいものではないと思っていました。
ですが、KamataとKingstonは全くの別物です。
Kamataは前述のとおり波形メモリ音源です。
オシレーターとして使える波形を自由に作る事が可能です。
一方のKingstonはファミコン音源でお馴染みのPSG音源です。
こちらは矩形波やノコギリ波などの基本的な波形のみしかオシレーターに使えません。
ちなみに、波形メモリ音源とPSG音源は当初でも混同されることが多かったらしいです。
勘違いしてしまうのもしかたのないことですね。
Kamataの所感
Kamataは見た目からしても往年のゲームを模したインターフェースで、いかにもゲーム音楽を奏でてくださいと言わんばかりです。
でも、Kamataのゲーム音楽を奏でるためだけに使うというのはもったいないです。
むしろ、ポピュラー音楽を彩るシンセサイザーの1つとしても十分に使える実力があります。
ローファイなウェーブテーブルシンセサイザーとして使うのはもちろん、
独特の質感と音の太さを活かして、チップチューン以外の曲でもガシガシ使っていけるシンセサイザーです。
音作りができるミニゲーム
Kamataはゲーム画面のようなデザインなので、もしかしたらゲームができるんじゃないかと思った方もいるでしょう。
実はその通りなんです!
波形編集の画面にて右側の黄色のボタンを長押しして離すとブロック崩しゲーム始まります。
バーの移動は「Value」ダイヤルで行います。3回ボールを落としたらゲームオーバーです。
しかも、このゲームで遊んでいると知らず知らずに音作りができるというものなんです。
なぜなら、ブロック崩しのステージは今まで描いていた波形で、ボールが当たると波形の一部が消え、それにともなって音色も変化します。
ゲームオーバーになると元に戻ってしまうみたいですが。
ミニゲームによって音を作ることができるシンセサイザーというと、Sugarbytesのベースシンセサイザー「Cyclop」を思い出します。
ちなみに、「Cyclop」ではやって来る敵を打ち落とすシューティングゲームが遊べます。
こういった遊び心のあるシンセサイザーがあるとそれだけで楽しいですし、ミニゲームを活かしたパフォーマンスも考えられるかもしれませんね。
コントローラーで快適な音楽制作環境を
KORG GagdgetはiPhone/iPadのタッチパネルでも十分に操作できますが、やはりコントローラーがあると作業がはかどります。
最近ではiOSに対応したコントローラーも発売されています。
ワイヤレスのコントローラーならiPhone/iPadの1つしかないコネクタを使わなくても済むので、充電しながらの作業も可能です。

私のオススメはnanoKEY studio。
キーボード、ドラムパッド、ノブ、XYパッドなどの多彩なコントローラー一式がコンパクトに収まっているコントローラーで、KORG Gagdgetにも完全対応しているので、これ以上にKORG Gagdgetにふさわしいコントローラーもないのではないでしょうか。