8月31日に初音ミク V4Xの発売が決定しました。
2007年8月31日に初音ミクの最初のバージョンが発売されたということで、つまり初音ミクの誕生日に新バージョンが発売されるわけですね。
され、これを機にみなさんもボカロPとしてデビューするのもいいんじゃないでしょうか。
なにせ、初音ミク V4XにはボカロPになるために必要なものが揃っていますからね。
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今更だけどボカロや初音ミクって何なの?
初音ミクという存在が一般的にも多くの人に認知されている今、流石に初音ミクを1ミリも知らないという人は少ないでしょう。
それでも、「名前は聞いたことあるけど、そこまで詳しくはない」という人は多いと思いますので、ここであらためて初音ミクについて触れてみましょう。
キャラクターとしての初音ミク
初音ミクのキャラクタービジュアルはエメラルドグリーンをテーマカラーとしたツインテールの少女という出で立ち、その歌声は機械的とも舌足らずの女の子とも取れる声が特徴的です。
身にまとう衣装や装飾品はYAMAHAのFMシンセサイザーの銘器「DX7」をモチーフとしています。
こういったキャラクター性がインターネット界隈に受けまして、初音ミクの発売を機にニコニコ動画を中心に初音ミクをボーカルとした楽曲がたくさん投稿され、コミュニティは盛り上がりを見せました。
その中でもクオリティの高い楽曲を制作するクリエイターには「P」という称号が与えられもしました。*1
こうしてネットを中心に盛り上がった初音ミクフィーバーは、やがて一般大衆の眼にも止まるようになってきます。
一般大衆の目に触れた時には一悶着ありましたが、いまではボーカロイドを象徴するキャラクターとしてさまざまなメディアや企業、イベントとのコラボレーションを展開しています。
また、冨田勲や安室奈美恵、BUMP OF CHICKENなどのメジャーシーンのアーティストたちとの共演もなされています。
安室奈美恵 / 「B Who I Want 2 B feat. HATSUNE MIKU」
BUMP OF CHICKEN feat. HATSUNE MIKU「ray」
個人的にはミドリカワ書房の「大丈夫」とかすきですね。
ソフトウェアとしての初音ミク
初音ミクはキャラクター以外にもボーカル合成ソフトとしての側面も持っています。
それは、今ではボカロと呼ばれて親しまれている「VOCALOID」を構成する要素の1つである音声データベースというものです。
VOCALOID用の音声データベースは人間の声をサンプリングした音声で構成され、サンプリングした人によって生成されるボーカルトラックの声質が変わります。
初音ミクの場合は声優である藤田咲の声をサンプリングしています。
そして、ユーザーが用意したVOCALOID用の歌唱用データと音声データベースを元にVOCALOIDエンジンで処理を行い、ボーカルトラックを生成します。
この音声データベースに初音ミクを用いれば、聞き覚えのある初音ミクの歌が生成されます。
もっと詳しいことは関連する論文だったり「ボーカロイド技術論」に書いてありますので、興味がある方は読んでみるといいです。
初音ミク V4Xを買えば必要な物は揃う
さて、初音ミク V4Xに話の軸を戻しましょう。
前述のメディア展開を目にする中で、「自分でも初音ミクに歌わせてみたい」とキャラクターとしての初音ミクではなく、音楽制作ソフトウェアとしての初音ミクに興味を持った方も少なく無いでしょう。
ですが、音楽制作を始めるには結構お金のかかるもので、1万円をゆうに超える初音ミクのソフトウェアはもちろん、DAWなどの関連ソフトについても目を見張るものがあります。
もちろん、それらを動かしても余裕で動作するスペックを有するコンピューターや、キーボードやオーディオインターフェイスなどの周辺機器を合わせると、お金がいくらあっても足りません。
しかも、どれを買えばいいのかすらもよくわからないというおまけ付き。わけのわからないものにお金を出すなんて勇気がいるどころの騒ぎじゃありませんね。
ですがご安心を。
初音ミク V4Xを買えば、本体だけの購入費用で当面の音楽制作に困ることのない環境が揃います。
よくわからないものを言うがままに買わされて、余計な出費をする心配もありません。
まあ、その初音ミク V4X自体も良いお値段がするソフトウェアですけど、ここは思い切って清水の舞台からダイビングしちゃいましょう!
次項より、初音ミク V4Xを購入することで入手できる環境を説明していきます。
初音ミク V4Xの音声データベースとPiapro Studio
初音ミク V4Xのパッケージの中で最初に説明すべきは、キモとなる初音ミクの音声データベースです。
これがなければ何も始まりません。
初音ミクの音声データベースには「ORIGINAL」「SOFT」「SOLID」「DARK」「SWEET」、そして英語音声データベースの「ENGLISH」の6種類があります。
なんでこんなに種類があるのか?
それは初音ミクにさまざまな表情の歌声を与えようとしたからです。
たとえば悲しい歌を歌っているのに歯切れの良い元気な声で歌っていたら普通はおかしいですよね?(そんなおかしな歌もあったりしますが)
そうならないように、TPOに合わせた歌声を出せるようにした結果、こんなにも音声データベースの種類が増えました。
また、「ORIGINAL」「SOFT」「SOLID」「DARK」「SWEET」については、「クロスシンセシス」という機能でそれぞれの特徴をブレンドすることができますので、初音ミクの歌声の表情を自由自在に操ることができます。
通常版には「ORIGINAL」「SOFT」「SOLID」「DARK」「SWEET」の5種類の音声データベースが入っています。
バンドル版には上記5種の他に、英語音声データベースの「ENGLISH」も付属します。
曲中に流暢な英語の歌詞を出したい時には、バンドル版を買っておいたほうがお得です。
それと、初音ミクを歌わせるためにはVOCALOID専用の歌唱用データを用意しなければなりません。
歌唱用データは人間にとっての楽譜みたいなもので、歌詞や音程、歌い方などが細やかに記されており、このデータがなければ初音ミクは歌うことができません。
この歌唱用データを作るエディターは本来なら音声データベースとは別売りで、それ自体も結構良いお値段がするものです。
ですが、初音ミク V4Xには歌唱用データを作るための「Piapro Studio」が付属します。
Piapro Studioは上記のVOCALOID EDITORと同等の機能を有するソフトなので、別売りのVOCALOID EDITORは不要です。
ピアプロスタジオとは? | Piapro Studio Official Website
つまり、初音ミク V4Xを買うだけで音声データベースも歌唱用データのエディターも全部揃いますので、これで初音ミクを歌わせることについては安心アンコールワットです。
StudioOne3 Artist
初音ミクが歌う準備は整いました。
でも歌だけじゃ寂しいので、伴奏も作ってあげたいですよね?
その点も心配ご無用、初音ミク V4Xには「StudioOne3 Artist」というDAWが付属します。
DAWとは伴奏を作ったり、歌声と伴奏を重ねたりするソフトと考えていただいて結構です。
PreSonus Studio One | 日本語ポータルサイト – 次世代の64Bit DAW
さて、このStudioOneというDAWは歴史の新しいDAWで、老舗のDAWと比べるとネームバリューは強くありません。
ですが、その分モダンな見た目や仕組みがなされています。
新たに音楽制作するなら、こういったフレッシュなDAWは良き相棒となるのではないでしょうか。
本ブログでも以下の記事でも取り上げたことのある、クールな様相のDAWなのでオススメです。

ちなみにこのStudioOne3 Artist、単体で購入すると定価12,800円(ダウンロード版価格、USBメモリ版は15,800円)ほどするので、そんなDAWが無償でついてくる初音ミク V4Xってかなりお得感あるパッケージではないでしょうか。
また、StudioOne3 Artistにはさらに上位グレードのStudioOne3 Professionalが存在します。
Professionalというだけあって、プロフェッショナルなミュージシャンの運用にも耐える機能などが付加されています。
当面はStudioOne3 Artistで音楽制作に不自由はしないでしょうが、Professional版の機能が意味するところがわかってきた時には、アップグレードを検討してもいい頃合いではないかと思います。
StudioOne3 Artistには以下の様な音楽制作に必要な機能が揃っています。
基本的な生楽器音源
StudioOne3 Artistの機能の1つであるPresence XTというソフトウェアサンプラーには、ピアノやギター、木管楽器、金管楽器、弦楽器などの音色が揃っています。
これらを演奏するためのデータ作れば、実際に楽器が弾けなくても様々な楽器の音を音楽制作に利用できます。
シンセサイザー
Mai TaiやMojitoといったシンセサイザー音源も搭載しています。
生楽器では味わえない電子的で未来的な音も、これらのシンセサイザーがあれば作り出すことができます。
豊富なエフェクト
ギターのためのアンプであったり、やまびこのような効果を作り出すディレイ、音の反響を生み出すリバーブなどの、音を加工するためのエフェクトについても豊富に取り揃えています。
サンプル&ループ素材
楽曲に彩りを加えるサンプル素材や、並べるだけである程度伴奏を形作ることができるループ素材なども付属します。
伴奏についても何から何まで一から作らなくてもいいわけですね。
くわしくは「こおろぎさんち」へ
実際のところ、私はStudioOneのユーザーではないので、公式ページに書いてあること以上の詳しいことはわからんのです。
上の文も公式からの受け売りで、真に参考になる情報とは言いがたいです。
そんなお詫びついでに、StudioOneのユーザーであり、音楽制作情報ブログを運営するミュージシャンでもある、こおろぎ大先生をご紹介させていただきます。
StudioOneのことなら、このブログ読んだほうが圧倒的に話が早くてわかりやすいです。
以下の記事ではStudioOneに搭載されている音源・エフェクトについて、ユーザーの視点から詳細にレビューがなされています。
ひとつ前のバージョンのレビューですが、StudioOne3 Artistに備わっている音源やエフェクトが網羅されていますので、大変参考になるかと思います。
【Artist編】Studio One 2.6 付属 サウンド・セット レビュー (デモあり)
Studio One おすすめの付属プラグインエフェクトと全レビュー
合わせてStudioOneの機能のレビューなんかもどうでしょう。
いいところと悪いところもそれぞれ挙げられており、公式ページの宣伝文句だけでは窺い知れないことなども書かれております。
あなたも絶対欲しくなる。StudioOneの神機能6つ (Ver.2.6.1)
StudioOneのMIDI、シーケンサー周りがどれだけダメかを自慢したい Ver.2.6.1時点
舞台は整った、あとはヤル気だけ
それにしても、これだけの音楽制作環境が初音ミク V4Xを買うだけで揃ってしまうなんて、一昔前では考えられなかったことです。
実際に、初代の初音ミクの時にはこのように充実した環境を整えるには相当の投資をせねばならず、初音ミクを買ったはいいけど歌わせられないといった人が大多数でした。
今ではこのように制作環境も容易に揃えられます。
また、「ボカロ音楽」というジャンルが人口に膾炙している今なら、ボカロ黎明期の頃よりも様々な世代のリスナーが揃っています。
「思い立ったが吉日」という言葉がありますが、ボカロPデビューするなら今が好機と言っていいでしょう!
ボカロPを目指す皆様にとって、8月31日が吉日となりますように。
*1:「P」の称号の文化はアイドルマスター界隈から輸入した文化と聞きます。